責任の所在

日経の電子版を見ていて、ふと思うことが。
記事の題材は、基本的に良くないことが多い。
懸念すべきこと、悪かったこと。
逮捕、爆発、不正、摘発、苦境、反発…
最悪なことに備えるための提言であって、その悪事を真似しろと言う話ではない。
そして、「人の不幸は蜜の味」というように、マスコミは良い事よりも悪いことを報じる性質を持っている。

ドラマや映画を見ていて、こう思った。
悪いことが起きると火の粉を払う事がある。
それにとどまらず、事実を捏造して他人に罪をかぶせる。
見ている側は「許せない」という気持ちが湧いてくる。

実は、会社の中でも捏造事件や隠ぺい事件は起きている。
上司や経営陣がそれを知ったとき、どう思い、何をすべきなのか?
これには正解があるとは思えないが、いくつかのパターンを書いてみよう。

  1. 気にしない
    気にしない理由は、一つではない。
    a) 人の噂は尾ひれがつくため、部下のそのような話に右往左往しないと決めている
    b) 社内で起きる捏造や隠ぺいなど起きると、事前に刷り込み済み
  2. 事実を調べて適切な処分を行う
    これが一般的かもしれない。

実はこんな話を知っている。
ある会社には、昔から横領文化がある(まさかの本当の話)。
下請け業者は仕事欲しさから、発注担当者の言いなりだ。
例えば、下請け業者に仕事を発注し、本来より多く請求させる。
そして本来の請求額との差額を、個人の口座に振り込ませる。
このような事を色んな手口で社員が行っているが、この中の古株の社員が出世して、ついには社長に上り詰めた。
社長となり、実績を上げていかねばならないが、この横領文化を否定できない。
この社長は、1のbに当てはまる。
近年減っていると思われるが、決してレアな例え話ではない。

さて、2に該当する多くの人向けの話に突入する。
まず、経営者が直ちに反省しなければならない。
なぜならば、その会社には、報告しづらい雰囲気や成果主義のプレッシャーなど、組織文化の問題がある可能性がある。
組織文化をけん引するのは、経営者の仕事だ。
実際にそんな問題のある組織文化になっているのなら、真摯に反省し、どうすればその悪い文化が払拭できるのかを考え、実践すべきだ。実行犯は被害者でもある。

犯人に課す処罰は、時と場合によって違ってくるから、ここで断言できない。
間違いなく言えることは、経営者が猛省することだ。

売上が悪くても、社内で不穏な事件が起きても、責任は経営者にある。
この重圧に耐え乗り越えてこそ、経営者だ。
しかし残念ながら、このような立派な経営者に出会ったことは、あまりない。
従業員、その家族の幸せを預かっているという認識がある素晴らしい経営者はどこにいるのか?

世の中の悪い出来事は、予想できないこともある。
人に起因するものについては、それが発生した背景を考え、備えてほしい。
誰が考えるのか?
市長でも国会議員でも警察でも隣人でも、それが自分の責任範囲にあると思う人がである。

「自分の責任ではない」と責任転嫁するのは、ドラマの中だけで十分だ。